Japanese
English
特集 精神疾患回復の時間経過を見通す
摂食障害(摂食症)の慢性化と回復の分岐点
A Critical Period to Remit from Eating Disorders, and Avoiding Chronicity
永田 利彦
1
Toshihiko Nagata
1
1壱燈会なんば・ながたメンタルクリニック
1Mental health clinic of Dr. Nagata in Nanba, Osaka, Japan
キーワード:
摂食障害/摂食症
,
eating disorder
,
重症遷延性神経性やせ症
,
severe and enduring anorexia nervosa
,
臨床的に意味のある完全主義
,
clinical perfectionism
,
予後
,
prognosis
,
ハームリダクション
,
harm reduction
Keyword:
摂食障害/摂食症
,
eating disorder
,
重症遷延性神経性やせ症
,
severe and enduring anorexia nervosa
,
臨床的に意味のある完全主義
,
clinical perfectionism
,
予後
,
prognosis
,
ハームリダクション
,
harm reduction
pp.1555-1563
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207127
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抄録
摂食障害(摂食症),特に神経性やせ症は本来,大多数が早期に寛解する精神疾患でありながら,10年以上の長期予後調査で慢性化率は10%を超え,さらに死亡率は10%に近い。そうならないために,まずは「18歳以下,病歴3年未満」という,家族をベースとする治療のエビデンスの範囲での寛解が目標である。次の分岐点として,おおよそ病歴7〜10年以上が慢性とされ,それを越えると重症遷延性神経性やせ症(SE-AN)となり治療は複雑化するので,そうならないように外在化などによって治療動機を高め,個別の慢性因子にも焦点を当てつつ治療を進める。一方,SE-ANに対しては,臨床的に意味のある完全主義(負けず嫌い)を理解し,摂食障害症状の改善を急がず,まずは生活の質の向上に重きを置き,絶望死を防ぐ介入が求められている。
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