Japanese
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特集 いじめと精神医学
日本における「いじめ」概念・定義の歴史的変遷と現状
Historical Changes in the Concept and Definition of “Bullying or Harassment” in Japan
桝屋 二郎
1
,
井上 猛
1
Jiro Masuya
1
,
Takeshi Inoue
1
1東京医科大学精神医学分野
1Department of Psychiatry, Tokyo Medical University, Tokyo, Japan
キーワード:
いじめ
,
bullying
,
ハラスメント
,
harassment
,
victimization
,
学校精神保健
,
school mental health
,
産業精神保健
,
industrial and occupational mental health
Keyword:
いじめ
,
bullying
,
ハラスメント
,
harassment
,
victimization
,
学校精神保健
,
school mental health
,
産業精神保健
,
industrial and occupational mental health
pp.157-164
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206273
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抄録 日本における「いじめ」概念・定義の歴史的変遷と現状を概説した。日本においては,いじめや嫌がらせ,ハラスメントの認知件数や相談件数は学校でも職場でも増加の一途をたどっている。1986年より国による学校でのいじめ実態調査が開始されたが,いじめ事例の見落としと恣意的除外が相次ぎ,批判や議論が起こって,いじめの概念と定義は拡大を遂げてきた。2011年の大津市におけるいじめ自殺事件は社会問題化し,2013年の「いじめ防止対策推進法」成立に繋がった。本法では,学校におけるいじめ定義や予防,対策について法的に規定されている。職場では,いじめ全体を包括する施策はいまだないものの,いくつかのハラスメントが各所管の法律などにて定義付けされ,予防や対策がうたわれている。いじめ被害は精神障害の誘因となったり,自殺の直接・間接の原因となり得るため,社会全体で予防と早期発見に努めなければならない。
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