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特集 双極Ⅱ型をめぐる諸問題
双極Ⅱ型障害の診断概念の歴史と疫学
History of the Diagnostic Concept of Bipolar Ⅱ Disorder and Its Epidemiology
井上 猛
1
,
佐藤 光彦
1
,
桝屋 二郎
1
Takeshi Inoue
1
,
Mitsuhiko Sato
1
,
Jiro Masuya
1
1東京医科大学精神医学分野
1Department of Psychiatry, Tokyo Medical University, Tokyo, Japan
キーワード:
Bipolar Ⅱ disorder
,
Diagnostic concept
,
Epidemiology
Keyword:
Bipolar Ⅱ disorder
,
Diagnostic concept
,
Epidemiology
pp.701-705
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205628
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はじめに
双極Ⅱ型障害の診断概念がわが国の精神科臨床に広く導入されたのは1994年のことであり,比較的最近のことである。1994年に米国精神医学会の診断基準であるDSMがⅢ-RからⅣに改訂されたときに軽躁病エピソードの診断基準が導入された。それに伴い大うつ病エピソードに加えて軽躁病エピソードが出現する気分障害を双極Ⅱ型障害と呼ぶようになった。気分障害の診断概念は1980年代から大きく変化し,1990年代に双極Ⅱ型障害が出現し,その後診断基準ではないが双極スペクトラム概念が提唱されるようになった。このような気分障害の診断概念の変遷において双極Ⅱ型障害の診断概念が果たした役割は大きく,診断のみならず治療にも大きな影響を与えてきた。気分障害の診断概念の変遷を知らない精神科医も増えてきたと思うので,本稿ではまず双極Ⅱ型障害の診断概念の歴史的意義を解説し,その疫学データについて紹介したい。気分障害の診断概念は今後も変化する可能性があり,今の診断概念がどのような流れの中で位置付けられるのかを知ることは知識と治療の考え方を整理する上で重要であると思われる。
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