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編集後記
S. A.
pp.1230
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205926
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このたびの特集を通読してみて第一に感じたことは,「トラウマインフォームドケア(TIC)と小児期逆境体験(ACEs)」は,精神医学のすべての領域に関連しており,すべての精神科医が学ぶべきであろう,ということです。本号は,そのための絶好の機会を私たちに与えてくれています。特集は,金生先生の緒言にはじまり,11本の論文で構成されています。亀岡論文ではTICの概念について,川野論文ではTICの学び方や日本の現状について,野坂論文,中村論文,上田論文では,それぞれ児童福祉,学校教育,医療現場におけるTIC導入について学ぶことができます。また,小林論文,平松論文ではACEsが物質関連障害・嗜癖性障害,うつ病に及ぼす影響について,天野論文では自閉スペクトラム症の事例における非行とトラウマの関連について,笠原論文では発達性トラウマ障害の概念について学ぶことができます。さらに,伊角論文ではACEsの疫学研究について,菅原論文ではACEsの発達精神病理学的研究について,近年の文献が展望されています。この領域はまだ新しく,基礎的・臨床的な研究の蓄積が必要ですが,将来性のある重要な領域であり,本特集がさらなる研究発展の契機になることを期待しています。
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