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編集後記
S. A.
pp.360
発行日 2019年3月15日
Published Date 2019/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205805
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ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の端緒を切り開いたのはフロレンス・ナイチンゲールであるという。彼女は,1860年にロンドンで開催された国際統計会議において傷病の統計調査を提案した。その後,統計学者のジャック・パーティリオンが国際統計協会に死因分類を発表し,それが各国で広く使用されるようになり,1900年に開催された国際会議において第1回国際死因分類が提唱されるに至った。以後,国際死因分類は,おおむね10年ごとに改訂され,1948年からはその所管が国際統計協会から世界保健機関に移り,第7回改訂からは死因分類だけではなく,疾病分類も加えられるようになった。このようにして,今日では,医療機関における臨床統計や疫学研究に広く使用されるようになり,各国政府の保健統計に活用されるになっている。現在は第11回目の改訂作業が進められているところであり,今年の5月に第11版となるICD-11が世界保健総会で正式に承認される予定である。
本号では,ICD-11に提示される「統合失調症」,「気分障害」,「PTSD関連疾患」,「強迫症」,「ゲーム障害」「強迫的性行動症」,「身体的苦痛または体験症群」,「パーソナリティ障害」,「児童・思春期の精神障害」,「性別不合」の概念と新たな分類が紹介されている。いずれの論文も非常に興味深い。そこには,新たな分類や傷病名に関する情報とともに,精神障害の概念やそもそも精神障害とは何かという基本問題に私たちを立ちかえらせる論考がある。
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