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編集後記
S. A.
pp.1062
発行日 2018年9月15日
Published Date 2018/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205688
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精神科医は,診療に際しては,「夜はぐっすり眠れていますか」「朝は気持ちよく目覚めることができますか」といった不眠に関連する問いかけを,おおむねすべての患者に行っているのではないだろうか。それは,不眠が,ウェルビーイングや多様な精神障害に関連し,精神疾患や身体疾患のリスクファクターになり得ることを熟知しているからであり,不眠を指標とする精神科治療の知識と技術を精神科医自身が身に着けているからであろう。
そのような精神科医の知識と技術を再整理する上で,本号の特集「不眠症の治療と睡眠薬」は打って付けである。はじめに,本特集の企画者である内山真先生が不眠症をめぐる今日のトピックスを要約し,清水徹男先生が「不眠症の概念と変遷」,村崎光邦先生が「睡眠薬開発の歴史」,三島和夫先生が「不眠症の治療ガイドライン」,降籏隆二先生が「不眠症と睡眠薬に関する疫学的事実」,井上雄一先生が「不眠症の自然経過」,長尾賢太朗先生が「不眠症の背景にある心理行動学的要因」,内山真先生が「睡眠薬依存および関連する症候群」をテーマに体系的な論述を展開している。その上で,「睡眠薬は是か非か」という今日的なテーマで,冨田真幸先生と山寺亘先生がProsの立場から,松井健太郎先生と松本俊彦先生がConsの立場から自由な私的見解を述べている。読み物としても十分に楽しむことができる。本特集は不眠症治療のthe state of the artを網羅するものであり,すべての精神科医に一読をお勧めしたい。
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