Japanese
English
特集 こころの発達の問題に関する“古典”をふりかえる
ADHDの古典—存在していながら認識されないもの
Classical Literature of Attention Deficit Hyperactivity Disorder:Being existed but not to be recognized
小野 和哉
1
Kazuya Ono
1
1聖マリアンナ医科大学神経精神科学
1Department of Neuropsychiatry, St. Marianna University School of Medicine, Kawasaki, Japan
キーワード:
ADHD
,
History
,
Classical literature
,
Sociocultural background
Keyword:
ADHD
,
History
,
Classical literature
,
Sociocultural background
pp.1085-1092
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205693
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はじめに
Attention deficit hyperactivity disorder(ADHD)は子どもの発達障害として今日認識されているが,多動・衝動,不注意といった課題は子どもにおいて一般的にみられる状態である。それが,就学困難な障害レベルで認められることが発達障害の中での位置付けである。障害化は患児の病態それ自体と,環境要因の相互に基づくものであることは言うまでもない。本障害が疾病(disease)ではない所以である。このため古典的文献の中で類似の病態の記載があるからと言ってそれがすぐにADHDの古典であると言えるかは疑問がある。そこで本論では,まず障害以前の「様態」としてのADHDの古典を提示したい。その後,現在のADHDの診断基準と近接される「病態」を含んだ古典文献を取り上げるとともに,その存在を際立たせるために,ADHDを社会文化的に側面からも検討し,「覧古考新」としての古典の意義を明らかにしたい。
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