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ディスレクシアとは
ディスレクシア(dyslexia)は難読症,読字障害,特異的読字障害ともいわれている。しかし,読字のみの困難を示す例は少なく,書字の障害も通常生じる。したがって,読み書き障害と考えられ,成人期ではなく発達期に生じるために発達性読み書き障害(developmental dyslexia)という表現が最も正確である。ディスレクシアは読み書きの発達が特異的に障害されており,単語認識における正確性かつ(または)流暢性に問題がある特異的発達障害と言い換えられる4)。いわゆる「学習障害」の一つであり,米国精神医学会の精神疾患診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)では神経発達症の一つで,「限局性学習症」ないし「限局性学習障害」(specific learning disorder)に分類されている11)。国際疾病分類第10版(ICD-10)では,学習障害という用語はなく,学力の特異的発達障害F81(specific developmental disorders of scholastic skills)として,特異的読字障害,特異的綴字「書字」障害や特異的算数能力障害などに分けて定義されている25)。
ディスレクシアは,①神経生物学的な原因によって生じるとされる。②主な特徴は,正確かつ(または)流暢に単語を認識することの困難および,つづりや文字の音声化における稚拙さである。③このような困難さは,主として言語の音韻的要素における障害の結果とされる。④工夫された授業や指導環境におかれたとしても,それと関係なしに困難さが存在する。以上4点を満たす特異的な発達障害である8)。本稿では,発達性読み書き障害をディスレクシアと置き換えて,以下述べていく。
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