特集 看護は薬とどうかかわるか
精神科看護場面で薬について問われること
尾上 孝文
1
1東京都立世田谷リハビリテーションセンター病室部門
pp.1256-1259
発行日 1978年12月1日
Published Date 1978/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918557
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祭りでのAさんをめぐっての出来事
Aさんはある行事(センター内での祭り)の世話人の会長に選ばれました.調子が高くなる傾向にあるため,薬で抑えられています.服薬を決まった時間にきちんきちんとする人で,夕方の薬は,夕食前にいつも服用しています.その行事の世話人会は,世話人の多くが就労しているため,夕食後に開かれました,その世話人会に出る度に,Aさんは薬の効果のため,うつろな目をして,‘眠くてしようがないわ’と言うのです,積極的な建設的な意見を言わず,受け身的な世話人会へのかかわりでした.
こんなことでは行事がうまくいかなくなってしまう,開会,閉会のあいさつもAさんがやることになっている.こまったなあ,と思っていたので,行事が2日後に迫った最後の打ち合わせ世話人会で,‘いつもの服薬する時間を遅らせて飲んだらどう’とAさんに提案しました.Aさんにとって,毎日,毎日,決まった時間にきちんと飲んできた薬を,遅らせて服用することへの多少の不安はあったようです.しかし,私のその提案を受け入れ,行事の当日は準備もテキパキとやり,開会,閉会のあいさつ,そして,司会のささえ役も行事の裏方もこなし,みんなも楽しい行事を無事終えることができました.
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