Japanese
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特集 現代社会と家族—諸病態との関連から
離婚と児童虐待を中心とした家族危機と家族病理
Family Crisis and Family Pathology associated with Divorce and Child Abuse
池田 由子
1,2
Yoshiko Ikeda
1,2
1聖徳学園短大保健センター
2日本大学医学部精神科
1Seitoku Gakuen College, Student Health Center
2Department of Psychiatry, Nihon University Medical School
pp.579-584
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204717
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児童虐待はいつの時代にも,どの文化にも存在する。わが国でも国全体が貧しく,女・子どもの人権が無視されていた時代には,「社会病理としての児童虐待」が存在した。しかし現在のわが国では,明治・大正時代と比べれば国も富み,児童福祉法,労働基準法,売春禁止法,優生保護法などの法的な歯どめもあり,年少者の労働,人身売買,売春,貰い子殺しなどはみられなくなった1)。ところが,「欧米型」,「文明国型」というか,「親個人の精神病理や家族の病理から起こる児童虐待」はむしろ増えつつある2)。
現代家族の病態として筆者に与えられたのは,「児童虐待」と「離婚」という二つの主題だが,「離婚」が「児童虐待」の前提条件とか,直接結びつくものではない。後述するように,虐待は,現代の家族の悲しむべき特徴のひとつ,「家庭の養育・庇護・相互扶助機能の衰えた場合,その上家庭内に緊張の高まった"家族危機"の際に勃発しやすい」のだが,離婚家庭の状況がたまたま,そのような諸条件に合致したとき,不幸な事件が起こり得るのである。
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