Japanese
English
展望
児童虐待の問題について—精神衛生と福祉の立場から
Child Abuse: from the View Point of Mental Health and Welfare
池田 由子
1
Yoshiko Ikeda
1
1国立精神衛生研究所児童精神衛生部
1National Institute of Mental Health
pp.900-916
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202655
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Ⅰ.まえがき
子殺し,子捨ての社会病理として,親子心中,嬰児殺,児童虐待,遺棄などが,近年にわかに世人の関心を集めるようになった。このうち,親子心中はわが国に特徴的なものと考えられよう。これらの諸現象を一括して論ずるのは,社会評論としてはともかく,精神衛生の立場からは無理だと思われるので,ここでは,いかなる文化,社会にも,また,いかなる時代にも存在した児童虐待について,現在までの医学的研究の結果を基礎にして展望してみたいと思う。
歴史的にみると,児童虐待を明確に定義づけるのは難かしい。何故なら,ある時代,ある制度のもとでは,現在われわれが児童虐待と判断するような行為が,まったく正当なものとして受け入れられていたからである。
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