連載 母と子のこころの相談室—家族編・1【新連載】
家族ライフサイクルの出発—内なる離婚と再婚
田中 千穂子
1
1花クリニック精神神経科
pp.66-69
発行日 1993年1月10日
Published Date 1993/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900632
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はじめに
家族ライフサイクルの視点から
みなさん,こんにちは。再度ならず三度目の登板で,自分でもいささか戸惑っています。このシリーズの第1回目には,乳幼児期から児童期までの子どもと,その子どもを抱えたお母さんをめぐって生じる,心の問題とそれへの対応について書きました。そして第2回目には,思春期から青年期に焦点を当てて,この難しい時期を,母子が何とか乗り越えていくことができるための心理的援助について,日頃考えていることをまとめてみました。
さて,今回は「家族をめぐって」というテーマです。これまで私は,養育の主体(care-giver)という意味で,「お母さん」と子どもの関係を軸に話をすすめてきました。しかし実際には,個人のそれぞれの成長段階における発達には,家族との関わりが深く影響します。「家族」はその構成メンバーである個人の成長を助けてもくれるし,ときには心ならずも阻んでしまうこともあります。そしてその過程を通じて「家族」もまた変容し,発達していくのです。
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