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われわれが現在Creutzfeldt-Jakob病と呼んでいる疾患は,Hans Gerhard Creutzfeldtが1920年,以上に訳した症例について論文を発表したことにはじまる。A. Jakobは1921年DeutscheZeitschrift f. Nervenheilkunde 70巻,およびZeitschrift f. d. Gesamte Neurologie und Psychiatrie 64巻に彼の自験例3例を発表し,1921年Medizinische Klinik Nr. 13に第4例を,1923年Die Expyramidalen Erkrankungen(A. Jakob著Springer, Berlin)の中にはSpastische Pseudoskleroseの中に第5例の臨床的および病理組織学的所見の詳細な記載を行った。以上の彼の諸例は共通した特異な臨床像と病理組織所見をもち,それらはCreuzfeldtの記載した1例と同一疾患であることを明らかにしている。このような経過からCreutzfeldt-Jakob病と呼ばれるようになったと思われる。
JakobはDie Extrapyramidalen Erkrankungenの中で臨床像病理所見を以下のように総括している。『中,高年層(ただしCreutzfeldtの例は23歳)に発症する原因不明の特異な疾患で,時に短期間のRemissionを思わせる経過の動揺がある。しかし諸症状は急激に進行して,コルサコフ症候群の出現とともに,譫妄状の錯乱,不安状態,視覚と聴覚性の幻覚は広汎な皮質病変を示唆し,これとともに明らかな錐体路,錐体外路症状(線条体および視床)がみられる。すなわち,腹壁反射欠如,時おりみられるバビンスキー,オッペンハイム徴候,振戦および動揺,上下肢筋緊張の軽度増強,無動状態,構音障害はしばしばロゴクロニー,常同言語様の障害である。その他知覚鈍麻または麻痺を伴わない失立,失歩を示す。大部分の患者は1〜3年の経過で,しばしば球麻痺および刺激症状,著しい精神的荒廃像を呈して死亡する。
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