Japanese
English
研究と報告
老人の死に対する態度—社会精神医学的研究
A Social Psychiatric Study on Attitudes toward Death of Old Age
吉沢 勲
1
Isao Yoshizawa
1
1神奈川県衛生部
1Dept. of Public Health, Kanagawa Prefecture
pp.309-315
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201319
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老人ホーム入所者98名より20名の標本を抽出し,老人の死に対する態度についてさまざまな角度から追求してみた。
まず老人のもっている「死のイメージ」を一般意味論の技術を使って分析した結果,老人は死という言葉に対し主観的,情緒的に反応する傾向をもち,それをたえず自己の問題として考え不安をいだいていることが明らかにされたと思う。
また死という言葉の意味内容として「近い」,「かたい」,「静かな」,「弱い」,「苦しい」の5項目が危険率5%以上で多く示された。したがつて老人は日常においても強い生命維持の願望や死への不安傾向を示しているといえる。さらに「恐い」,「不快な」といつた項目に有意差がみられなかったことは死の不安に対する防衛機制の存在もうかがえるところである。
老人の死に対する態度はそのときの老人の心理状態により変容しやすく,診断の一つのめやすとなることも証された。
死に対する態度スケールと諸要因との関連では危険率5%以上で有意差がみられたのは,年齢,配偶者との離死別期間,健康状態,希死体験,適応状態の5項目であつた。したがつてつぎのものは死に対する態度が不良であると結論された。
1)年齢別では若い群(60歳代)。
2)配偶者との離死別期間の短かいもの。
3)健康状態のすぐれないもの。
4)希死体験のあるもの。
5)社会的適応の不良のもの。
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