特集 精神療法の技法と理論—とくに人間関係と治癒像をめぐって
第3回日本精神病理・精神療法学会シンポジウム
はじめに
池田 数好
1
,
荻野 恒一
2
1九州大学
2南山大学
pp.464
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201214
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精神療法の理論と,それからうまれる技法の問題は,いつでも,それらの背景にある共通した問題にゆきあたる。それは,治療者がいつたいどのようなパースナリティ論をもち,治療対象についての,どのような疾病論,たとえば神経症理論をもつているか,ということである。これらの背景なしには,休系的な精神療法は構想されない。逆に,たとえば責任のある神経症理論は,そのうしろに,その理論にもとづく精神療法の体系をもっているはずのものである。
これらの基本的な背景と,それが精神療法の実際の上に,どのように生きているかを具体的にみるためには,第1に,重要なのは,治療者・患者関係にたいしてもつているその療法の姿勢を参考にすることである,とわれわれは考えたいのである。精神療法の,重要であるにもかかわらず,きわめて客観化しにくい点も,実はこのなかにひそんでいる。おなじように,第2の重要な点は,その療法が,どのような治癒像を指向しているのか,いつたい治癒とはどのようなことだと考えているのか,といつた具体的な点を比較検討することであろう。
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