研究と報告
Chlorpromazine薬疹とその治療に関する研究—とくにAsthremedinによる治療効果について
高室 昌一郎
1
,
松本 胖
1
1国立国府台病院精神科
pp.229-232
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200313
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1.Chlorpromazine薬疹と考えられる15例に対して,Asthrelnedinの皮内注射を行ない,治癒13(86.7%),有効1,無効1の成績をえた。これは,副腎皮質ホルモン,プロメタジンおよびそのほかの抗ヒスタミン剤などの使用成績に比して,優るとも劣らぬ効果であると考える。
2.治癒例においては,Chlorpromazineの服用あるいは取扱いを持続しているにもかかわらず,6カ月以上にわたつて観察したが,ほとんど再発をみなかつた。
3.本剤注射による随伴症状としては,局所の皮膚反応を認める以外に,初回注射後のみに,時に,軽度の倦怠感,熱感および頭重などがみられたが,そのほかに著変を認めなかつた。
4.薬疹の急性期には,副腎皮質ホルモンの短期間(2〜3日)併用も考えられる。
5.本剤の作用機序としては,滝野の副交感神経緊張の移動理論が考えられるとともに,Chlorpromazine薬疹の発呈と副交感神経緊張との間に.緊密な関連の存する可能性が推測できると考える。
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