研究と報告
Levomepromazineによる自殺未遂の1例
松本 胖
1
,
山上 龍太郎
1
,
中島 三之丞
1
1国立国府台病院精神科
pp.233-237
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200314
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1.周期性うつ病に罹患中の50才の男子が,自殺の目的からLevomepromazine 90錠(2250mg)を一時に服用したが,未遂に終り,そのさい,諸種の検査と観察とを行ないえたので,報告した。
2.本剤の大量服用後における急性症状は,2時間後に手指振頭,運動失調,傾眠,5時間半後に頻脈,発熱,嗜眠状態,軽度の血圧下降,10時間後に多量の発汗などであるが,意識障害はさほど高度でなく,外界刺激に比較的よく反応し,22時間後にはまつたく回復し,そのさいに,全身倦怠感,頻脈,口渇などがみられた。
3.血液所見および各種医化学的検査は全期間を通じて著変なく,6時間後における尿に軽度の蛋白およびウロビリノーゲンの一過性増量をみたのみで,ほかに異常所見を認めなかつた。
4.以上の経験から,本剤は36.9mg/kg程度ならば,一時に服用しても,生命の危険は避けられるものと考えられ,比較的大量を治療目的に使用することも可能であろうと想像される。
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