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本書は国際脳波学雑誌Electroencephalography and Clinical NeurophysiolotyのSupplement 5をもかねている。著者はベルギー人でVan Gehuchten教授(ルーヴァン大学)およびLudo van Bogaert博士(アントワープのInstitut Bungeの有名な神経病理学者)の門下生であるらしく,特にvan Bagaertは序文をよせている。実際また本書に集められた臨床例の大半はInstitut Bungeで観察されたものである(臨床,脳波および脳病理)。なおまたフランス脳波学の指導者であるFishgoldとH. Gastautも,本書を国際脳波学雑誌のSupplementとして出版することになつたいきさつを序文で述べ,フランス語圏内臨床脳波学の発展と豊饒性を力説した。実際また本書は従来脳波学の主なる応用対象であつたテンカン,脳腫瘍,脳外傷のわくを越えて,脳炎およびencéphalopathies post-infectieusesを脳波学的にも分類可能かどうかを意図した大胆の試みのように思われる。この試みが成功しているかどうかは読者によつて判断されるだろう。私は脳病理の点でも脳波学でも専門家でないので,本書の価値を正当に批判するのに不適当であるが,一応この注目すべき著述の内容を以下簡単に紹介しよう。
第1章は脳炎およびencéphalopathies post-infectieusesの一般概念を論じているが,典型的な病理組織の写真が何枚も出てくるので理解は容易である。第2章は脳炎の分類を論じているが,原発性脳炎とpost-infectieuseの脳炎および脳傷害を区別しているのが特徴であり,更にヴィルス学の見地からの分類もある。
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