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はじめに
現在,うつ病患者の復職支援の取り組みとして外来デイケアにおけるリワークプログラム(以下リワーク)が広まってきている。また,リワークによる復職に向けての治療効果を最大限に発揮させ,適切な復職支援を行っていくためには,リワークを利用する前の準備段階やリワーク終了後のフォローアップが非常に重要となってくる。
筆者らが所属する松原病院(以下,当院)では,これまで自殺企図など重篤なケースを他の精神疾患のケースと同じ閉鎖病棟に入院させ,鎮静を図りながら抗うつ剤を使用し,回復すればすぐに外来通院に切り替えていた。主として安全確保と精神療法,薬物療法を提供してきたといえる。また当院のような比較的歴史の古い単科の精神科病院の宿命でもあるが,病院名や疾患がある種の偏見の対象となっているため,うつ病の患者に対して必要な保護や治療を,それを必要としているケースであっても提供できないというジレンマに陥っていた。
2000年4月,徳永雄一郎医師の呼びかけに,いくつかの単科の精神科病院が応え,日本ストレス病棟研究会(現:日本ストレスケア病棟研究会)が立ち上げられた10)。研究会では,うつ病を中心としたストレス関連疾患に特化した病棟の必要性や有用性を検証するとともに,入院治療が外来治療よりも安全で,迅速で,しかも再発の少ない治療手段であることを,社会に発信していくこととなった。図1は,復職へのプロセスにおけるストレスケア病棟の位置付けを示したものである。
当院も1997年にストレスケア病棟を開設し,心理療法,生活リハビリテーション(以下,リハビリ)(作業療法など)を充実させながら,2009年にデイケアでのリワークを開設といったように,徐々に体制を整えてきた。以下,当院の復職支援の状況と課題を中心に述べてみたい。
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