Japanese
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特集 職場の精神保健
産業精神保健—課題と方向
精神障害者が職場で抱える問題
Problems on Mentally Ill Employees
中村 豊
1
Yutaka NAKAMURA
1
1九州電力(株)中央健康管理医
1Health Care Center, Kyusyu Electric Power Co
キーワード:
Mentally ill employee
,
Prejudice and stigma
,
Return to work
Keyword:
Mentally ill employee
,
Prejudice and stigma
,
Return to work
pp.1075-1080
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902304
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はじめに
詳しくは他の筆者が触れられるところであろうが,職場(企業)といっても多種多様である。すなわちその規模(大中小企業),業種(製造業,非製造業),勤務形態(事務作業,現場作業)など,それぞれの職場によって,その物理的,対人的環境条件はさまざまである。したがって精神障害を引き起こす誘因の内容とその程度も,各企業,各職場によって実に多様である。
特に近年わが国の多くの企業においては,いわゆる情報技術(lnforniation Technology;IT)化が急速に浸透し,そこに働く人々は,それに対応するために,かつてない精神的負荷を負っている。さらに最近の社会情勢から,わが国を吹き荒れるリストラ(restructure)の風に直面し,彼らは不安に曝されながら,毎日を過ごしているのである。このような情勢の中にあって,職場で働く人々の中に,さまざまな病的レベルの精神障害者が発生することは,容易に推定できる。また,職場の中の精神障害者―彼らは「病のなせる業」の故に能力の低下や,時には問題行動を起こすことがある―に対する仕事仲間の「目」が,過去以上に厳しさを増していることも事実であろう。
長年職場の人々と身近にかかわってきた一精神科医として,現場から問題を提起された精神障害者への援助活動の経験をもとに,彼らの抱える問題や職場関係者の対応などについて,いささかの所感を述べたい。
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