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特集 職場のメンタルヘルスと復職支援─その効果的な利用のために
精神疾患の社会的コストとリワーク
Societal Cost due to Mental Illness and Return to work Program
佐渡 充洋
1
Mitsuhiro SADO
1
1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Keio University, School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
Societal cost
,
Mental illness
,
Return to work
Keyword:
Societal cost
,
Mental illness
,
Return to work
pp.747-752
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405102524
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疾患による社会的コスト
ある疾患によってもたらされる社会的コストを計測する方法のひとつに疾病費用研究がある。これは,もしその疾病がなければ,回避できたであろう経済的負荷の値をコストという形で推計する研究である。具体的には,医療費などの直接費用と,罹病費用,死亡費用などの間接費用を合計することで,その疾病の社会的な負荷を明らかにしていく。表1に示したように,直接費用には,保険,保険外も含めた医療費や,社会的なサービス費用などが含まれる。間接費用には,罹病費用や死亡費用といった生産性損失が含まれる。罹病費用は,さらに,欠勤によってもたらされる生産性の損失であるabsenteeism,出勤はしているが集中力の低下などによってもたらされる生産性の損失であるpresenteeism,そもそも病気のために就職ができていないことによる生産性の損失である失業費用などに分類することができる。死亡費用とは,患者がその疾病によって早期に死亡したことによってもたらされる生産性の損失であるが,これは遺失賃金で計算されることが多い。間接費用には,その他にも,家族などが患者をケアすることで生じる生産性損失であるインフォーマルケア費用,痛みや苦悩などを費用に換算したインタンジブル費用なども含まれることになる。
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