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編集後記
S. I
pp.1088
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101093
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電子ジャーナルが普及し,外国語雑誌は図表付で全文が閲覧できるものが増えている。料金体系は複雑で,冊子体とのセットで購読する場合,電子ジャーナルは無料,あるいは5~20%程度の上乗せ料金を取られる。電子ジャーナルのみ分離販売される場合もあり,料金は冊子体より安いケースもあれば,同じか逆に高いケースもある。雑誌購読料は年々高騰している。しかし電子ジャーナルの利点は非常に大きく(研究者にとっては情報の迅速性・検索機能など,図書館にとっては重複購入削減・雑誌管理経費や書架スペースの節約など),大学・研究機関ではなくてはならないものになっており,今やどの機関も高い購読料に悲鳴を上げている。
このような現状への対抗措置の一つとして「リポジトリ」が始まっている。リポジトリとは,論文や報告書をデータベース化して学内外に無料で公開する仕組みで,研究者は自身の論文別冊,あるいはその電子媒体(著者最終稿でも可)を附属図書館などに提出し,図書館ではそれを全文閲覧できる形に電子化する。その際著作権を確認し,著者,論文名,キーワードなどを(メタデータ)取り出し整理したうえで「リポジトリ」に登録する。登録された情報はGoogleなどの検索エンジンにかかり広く一般に利用される,という仕組みである。欧米ではすでに取り組まれ,日本でも国立情報学研究所のリードで参加機関が年々増え,いわば国策の領域に入っている。仮にすべての研究者が自身の発表論文をリポジトリに登録すると,電子ジャーナルは不要となり一大革命になるとされる。
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