巻頭言
新しい「精神病理学」の創出
森山 公夫
1
1陽和病院
pp.1138-1139
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100923
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現在の状況
この時代の激変期にあたり,精神医療もその制度・実践と学的内容の大きな転換を経験しています。制度についてわたしたちは最近,「心神喪失者法案」や「病床削減問題」で激しい攻防を経験してきました。で,ここでは話を学的転換にしぼります。
現在目立つことの一つは,アメリカの教科書DSMと,伴走するICD-10とが,日本の,そして世界の精神医学界を支配してきたことです。もう一つは,いわゆる第二世代向精神薬の開発に伴う製薬業界のリードです。そして第三が,精神医療への経済支配で,これは「エビデンスに基づく精神医学」(EBM)の流れとなり,つまりは統計学的な数字を強調します。こうしてアメリカンスタンダードがいつしかこの日本を支配し,日本の精神医学のあり方を大きく変えました。その中で精神病理学の凋落が目立っています。
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