オピニオン 操作的診断基準の有用性と限界をめぐる今日的問題
ICDの過去,現在,未来―国際的視点から,操作的診断を考える
新福 尚隆
1
1西南学院大学人間科学部社会福祉学科
pp.706-708
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100285
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
このテーマに関してオピニオンを述べられる専門家の多くは臨床精神科医で,臨床の立場からの意見が多いと思われる。私は,国際的な保健医療行政の立場からICDをはじめとする操作的診断についての意見を述べたい。
WHOにとって診断基準作成の目的は,途上国を含めて世界中から,死亡,発病,有病に関しての信頼できるデータを集め,国際的な疾病動向をとらえ,有効な予防方法,治療方法を策定することである。ICDは,そうした目標を達成するための必要不可欠の道具である。ICD-10の第5章「精神および行動の障害」に掲載してある100の診断名(F00-F99)は,感染症や生活習慣病を含む3,000以上の診断リストの一部である。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.