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はじめに
1985年“ブープ”というアトラクティブな響きとともにbronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)1)が登場し,間質性肺炎の概念に大きな風穴をあけた.その9年後にKatzensteinの手になるnonspecific interstitial pneumonia/fibrosis(NSIP)2)がAJSP誌上に発表された.
NSIPは当初その名のとおり,UIP,DIP,AIPなど既存のどの間質性肺炎にも当てはまらない“非特異的”病理像を呈する間質性肺炎と捉えられていたが,膠原病や過敏性肺臓炎などにみられる病理像でもあった.
その後,特発性NSIPに関する研究が進み,特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias;IIPs)のなかで確固たる地位を占めるに至った.しかし,現在国際的に確立しているIIPs3)のなかでrespiratory bronchiolitis interstitial lung disease(RBILD)を除く全てのサブセットとその病理組織像が大なり小なり重なりあっているNSIPは常に混乱を生む中心的IIPであった.
最近,特発性と考えられてきたNSIPを未分化結合織病(undifferentiated connective tissue disease;UCTD)~自己免疫疾患の肺病変と捉える論文4)も現れた.将来NSIPは特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis)の一亜型(IPF variant)としてIPFに昔帰りするごく一部の集団と,膠原病の肺病変に合流するNSIPとに分かれる可能性が出てきた.
上述の論文をはじめとしてこの数年,IPFとの関連において今後のNSIPの方向性を暗示する論文もいくつか現れた.NSIPが将来大きな方向転換する可能性も出てきた今日,改めて“非特異性間質性肺炎(NSIP)”という概念の生まれた経緯,概念の変遷,現在の置かれている立場,今後の方向など私見を交えて述べることにする.
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