オピニオン 操作的診断基準の有用性と限界をめぐる今日的問題
操作的診断体系の今日的問題―精神病理学の見地から
加藤 敏
1
1自治医科大学精神医学教室
pp.709-713
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100286
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1875年パリでのメートル法の制定を皮切りに,全世界に波及する規格化の作業がさまざまな領域で順次進行していった。それは自己拡大していく人間相互の交流の必要性にこたえるうえでもごく自然な動きで,産業社会と科学的研究,医療の発展にとり欠かせない基本原理といえる。DSM,ICDによる精神障害の分類体系は,精神医学領域におけるこの文字通りグローバルな規格化の初めての実現形態といえる。こうして精神医学が共通語,あるいは標準語を手にした意義は大きい。しかしながら,計量化と視覚化がなかなか一筋縄では行かない領域だけに,この試みが大きな困難を伴うことは最初から予想されるところであった。
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