病院管理フォーラム 事務長の病院マネジメントの課題—急性期病院の立場から・4
聖路加国際病院の過去・現在・未来(1)
中村 彰吾
1
1聖路加国際病院
pp.584-587
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903572
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⦿聖路加国際病院の現況と問題点
1902(明治35)年,米国聖公会から派遣された若き宣教医師ルドルフ・ボリング・トイスラーによって聖路加国際病院は創立された.Drトイスラーは「東京に空家の小さな病院がある」ということを聞かされ,故郷のリッチモンドで若くて人気もあり,医師として輝かしい未来を約束されていたのを振り切って,当時教養のある人でも東京が日本という国にあるのか,中国にあるのか知らない状況の中,ロマンと青雲の志と,何よりも強い信仰心に裏付けられたフロンティアスピリットを持たれ,1899年12月27日にニューヨークを立たれ,約18日の船旅を経て横浜に上陸された.そして早速診療活動を始められたが,当時の病院名は「築地病院」であった.それから病院名をキリストのお弟子で医師であった「ルカ」の名を取られ「聖ルカ=聖路加病院」として今日の基礎を築かれた(聖路加国際病院となったのは大正年間である).
それから100年の間,多くの先輩によって,関東大震災(病院の木造の建物は崩壊し,フィリピンに駐屯していた米国陸軍からテント・医療品を提供してもらい,医療活動を続けた),戦後の米軍による接収そして解除,などの苦難の時代もあったが,1992年さらに近代化した病院を新築オープンし,今年で早くも10年を経過した.
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