Japanese
English
Bedside Teaching
食道癌手術後の肺合併症
Pulmonary Complications after Surgery of Esophageal Cancer
藤田 博正
1
Hiromasa Fujita
1
1久留米大学医学部外科
1Department of Surgery,Kurume University School of Medicine
pp.1239-1245
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910119
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はじめに
胸部食道癌の手術では,1)胸部操作:開胸,食道切除,縦隔リンパ節郭清,2)腹部操作:開腹,腹部リンパ節郭清,胃管作成,栄養痩造設,3)頸部操作:頸部リンパ節郭清,食道胃管吻合が行われる.例えて言えば,一人の患者に喉頭癌,肺癌,胃癌の手術を同時に行うのに匹敵する侵襲が加えられる.この大きな手術侵襲に伴う一般的な合併症に加え,食道癌手術の特殊性として,縦隔リンパ節郭清に伴う反回神経麻痺や気管の阻血,咳漱反射の減弱に起因する合併症が発生する.さらに,食道再建では喉頭から数cm以内の頸部食道に食物や消化液を貯留する胃管が吻合される.そのため,患者は永久に食物の誤嚥や消化液の逆流の危険に曝されることになる(図1).これら種々の要因が重なり,食道癌術後には約90%の頻度で何らかの合併症が認められ,在院死亡率も他の消化器癌に比べ高率である(表1).術後合併症のなかで最も頻度が高く(56%),重篤なものが肺合併症である.ここでは,食道癌術後の肺合併症を肺実質性の合併症と胸壁・胸膜腔性の合併症に分け,その病態ならびに予防法と治療法について述べる.
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