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はじめに
抗不整脈薬に関する欧米での多くの大規模調査研究の成績から薬剤の副作用への注意が喚起されている状況で,わが国においても新薬を含めた抗不整脈薬の安全かつ適正な使用が強く求められてきた.欧米においてはすでにこうした問題に対して,抗不整脈薬療法を根本的に見直し,論理的かつ安全な治療を行うためのガイドライン作りが進められ,なかでも欧米の心臓電気生理学領域の著名な研究者を集めて過去3回開催されたSicilianGambit会議からの提言1〜3)は抗不整脈療法を大きく変えてきている.1996年1月に開催された第3回Sicilian Gambit会議に,日本からも初めて委員の参加が認められたことを契機に,わが国でもSicilian Gambitに基づいた独自のガイドライン作成を目的に,財団法人日本心臓財団研究助成による「抗不整脈薬ガイドライン委員会—Sicilian Gambit日本部会」が組織され活動を開始した(1996年4月).この委員会は,新規抗不整脈薬を含めて現在わが国で使用可能な全ての薬剤について,Sicilian Gambitの概念に則り,基礎的ならびに臨床電気生理学的作用,薬物動態,心血管系への作用,副作用などについて独自に調査し,そのデータベースを基に適正な抗不整脈薬の使用を進めるための実践的ガイドライン作成を図ってきた4,5).本委員会は1996年10月には日本心電学会の小委員会として承認され(〜1999年9月),さらに1997年4月には日本循環器学会診療基準委員会「Sicilian Gambitに基づく抗不整脈薬選択のガイドライン作成」研究班が発足し,(〜2000年3月),両委員会が共同してガイドライン作りを進めてきた.その研究成果としてこの度CD-ROM版「抗不整脈薬選択のガイドライン」が発表された.
本稿では,Sicilian Gambitの概念を含めて,ガイドラインの基本的考え方を紹介する.
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