Japanese
English
綜説
心筋障害に伴う循環系調節因子
Role in Protection of Ischemic and Reperfusion of the Myocardium
小畑 俊男
1
Toshio Obata
1
1大分医科大学薬理
1Department of Pharmacology, Oita Medical University
pp.395-401
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902457
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
心筋は交感,副交感神経の二重神経支配をうけ,その調節機構はきわめて複雑であるが,その重要さゆえに運動,外的ストレス,心筋虚血などの代謝異常に対して迅速に対応できる循環制御メカニズムが備わっている.また,ATPの分解産物であるアデノシンは神経,心筋,内皮細胞および白血球成分のいずれかの場合でも産生され,どの細胞にも受容体が存在するため冠微小循環調節の各因子のモジュレイターとして冠循環を調節している1〜3).
心臓は容易に虚血に陥りやすい臓器の一つであり,これに関わるフリーラジカル産生が4,5)生体内の生理病理現象に広く関わっていることが明らかになりつつある.最近,イオンチャネルが心機能に関わることが判明してきた.分子生物学の導入,発展により,イオンチャネルの蛋白構造や遺伝子が明らかにされ,この分野における研究は目覚ましい進歩をとげたが,しかし,生理的条件下での検討がより望ましいと考えられるようになり,マイクロダイアリシス法が注目されるようになった.
マイクロダイアリシス法は,生体物質を生理的条件下で経時的かつ連続的に検討できるという利点から最近30年間に発展してきた方法である.当初,中枢神経系に関する研究が中心であったが,その有効性から多方面の臓器,組織での検討へと応用範囲を広げてきた.しかし,心臓へ応用した試みはいくつかあるが6〜8),それぞれ組織侵襲による問題点をかかえている.
そこで本稿では,マイクロダイアリシス法を心臓に応用し,循環器系の調節因子による心筋障害と心筋保護作用の機序について述べる.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.