Japanese
English
Bedside Teaching
咳失神
Tussive Syncope
近藤 哲理
1
Tetsuri Kondo
1
1東海大学医学部呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, School of Medicine, Tokai University
pp.403-406
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902458
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咳漱に失神を伴うことは珍しいが,極端にまれというわけでもなく,咳が主訴の患者に詳しく問診を行うとたまに遭遇する.咳漱の直後に呼吸は一時的に停止するので,何となく失神の原因は低酸素血症によるものと考えがちであるが,咳漱では深吸気と深呼気が交互に続くために,むしろ過換気の状態であり,咳失神のメカニズムは低酸素血症以外に求めるべきである.
咳失神の系統的な研究はCharcotら(1876)が最初とされる.彼は咳失神の原因を喉頭ないし頸動脈小体からの迷走神経反射による循環系の変化と推定しlaryngeal vertigoの用語を用いた.彼は後にこの仮説を捨て去ったためにlaryngealvertigoの名称も根拠を失ったが,用語自体は長く使われた.1950年代の研究により,現在では後に記すいくつかの仮説が提案されており,現在はcough syncopeやtussive syncopeと呼ばれることが多い.わが国では,1973年に緒方ら1)が最初の報告をしたが,咳失神自体はさほど珍しい病態ではないために,その後の報告例も多くはない。
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