Japanese
English
綜説
糖尿病心での虚血耐性
Ischemic Preconditioning of Diabetic Heart
小畑 俊男
1
Toshio Obata
1
1奥羽大学薬学部薬品分析化学
1Department of Analytical Chemistry, School of Pharmaceutical Sciences, Ohu University
pp.833-837
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101315
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はじめに
糖尿病は虚血性心疾患の主要な危険因子であり,また糖尿病患者の第一の死因は虚血性心疾患である.近年,生活習慣の西洋化に伴う生活習慣病の増加は医療上のみならず,医療経済的にも大きな社会問題となり,早急な対策が急務となっている.特に糖尿病と虚血性心疾患は密接に関連し,心筋虚血に対する治療の進歩にもかかわらず,心筋梗塞後の心不全の発症率と死亡率は糖尿病を有する群で依然として高値である1).これらの疫学的研究の結果は糖尿病心の虚血耐性の低下を強く示唆するものであり,また糖尿病性心筋症との関連性も示唆されている2).このことは糖尿病を有する虚血性心疾患と心不全患者が今後さらに増加することを示しており,早急な対策が不可欠と思われる.糖尿病やその合併症である心血管疾患の発症予防は今後の国民的課題といえる.
本稿では糖尿病状態での心筋細胞障害と虚血耐性について述べる.
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