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はじめに:間質性肺疾患と間質性肺炎
間質性肺疾患には,肺の間質に病変の主座をおく140種類以上の種々の疾患単位が含まれる.出現頻度は低いか稀なものが多い.病理組織所見によって確定診断が行われ,臨床的な背景因子を加えて,臨床病理的な疾患概念が整理されてきた.
間質性肺炎とは,肺胞領域の間質の炎症性線維化を主徴とする疾患群である.肺胞間質の線維化は,呼吸不全を来し予後不良に至る.線維化病変の進展の程度,速度によって臨床経過には大きな差異があるが,呼吸不全を来し予後不良となる疾患は,難病と呼ばれるものである.
間質性肺炎に分類される疾患の背景と種類は多種多様である.日常の臨床で経験することが稀ではないのは,特発性間質性肺炎(idiopathic inter—stitial pneumonia:IIP),膠原病性間質性肺炎,薬剤性間質性肺炎などであり,IIPの診断のためには,図1に示すように,間質性肺炎のみならず,間質性肺疾患のいくつかの疾患の除外をすることが必要となる.この除外診断の結果,IIPとして診断される問質性肺炎も,単一の疾患ではなく,臨床経過・予後の異なる複数の疾患単位からなっていることが明らかにされてきた1).
最近,特発性間質性肺炎にみられる肺胞間質の線維化の質的差異が,治療反応性や予後の差異に基本的に関わっているのではないかとの認識がされてきた.この認識は,基本的に,病理組織所見上の問題である.しかし,その差異を,気管支肺胞洗浄液細胞所見やCT,特にHRCT所見を用いた画像的鑑別診断で鑑別可能ではないかとの成績も報告されてきている.これらの進歩を基盤に,最近では,臨床画像病理的な疾患単位としての間質性肺炎の再整理が国際的共同作業として行われてきている2).
本稿では,特発性間質性肺炎の臨床画像病理的分類の現状と問題点を紹介する.さらに,膠原病性間質性肺炎の概略について述べ,特発性問質性肺炎と膠原病性間質性肺炎の異同について,文献的にあるいは自験成績もまじえて考察をしてみた.
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