Japanese
English
講座 加齢とアンチエイジング・第4回
血管のアンチエイジング
Anti-aging of vasculature.
中神 啓徳
1
,
森下 竜一
2
Hironori Nakagami
1
,
Ryuichi Morishita
2
1大阪大学大学院連合小児発達学研究科
2大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学
1Division of Vascular Medicine and Epigenetics, Osaka University Graduate School of Medicine
2Department of Clinical Gene Therapy, Osaka University Graduate School of Medicine
キーワード:
血管石灰化
,
骨粗鬆症
,
RANKL
,
エストロゲン
,
アンジオテンシンⅡ
Keyword:
血管石灰化
,
骨粗鬆症
,
RANKL
,
エストロゲン
,
アンジオテンシンⅡ
pp.353-356
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102034
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はじめに
William Oslerが1898年に記した“A man is as old as his arteries.”(人は血管とともに老いる)という言葉は今もなお,多くの研究者・臨床家に引用され,アンチエイジングの中心的な概念となっている.それから100年間経過し飽食の時代の到来により,われわれはこの言葉の重みを改めて実感する時代に生きている.加齢に伴う血管の老化は高血圧・動脈硬化を進行させ,冠動脈疾患をはじめとした虚血性疾患の有病率や重症度を増加させることが知られている.
近年,血管機能の簡便な測定機器の普及により算出される血管年齢値も徐々に日常診療にも生かされるようになってきている.血管の硬さの指標の脈派速度(pulse wave velocity),炎症所見としてのC-reactive protein(CRP),内皮依存性血管拡張反応を調べる内皮機能や血管トーヌス,血液粘度などのデータを総合的に解析することで,血管の老化度を把握することができる.一方で,その血管老化に影響を与える危険因子(高血圧,糖尿病,肥満,コレステロール,喫煙)などを把握して,弱点を補強しながら血管老化度のバランスを是正する治療が望まれる(図1).本稿では,その分子学的な解析として,血管老化の現象の一つである血管の石灰化に着目し,その分子メカニズムの概説と骨粗鬆症との関連について述べる.
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