Japanese
English
特集 心血管系における再生医療・遺伝子治療
閉塞性動脈硬化症への血管内皮幹細胞移植による血管再生治療
Vascular Regeneration Therapy using Bone Marrow Cells
松原 弘明
1
,
正木 浩哉
1
,
湯山 恵里子
1
,
天野 克也
1
,
岩坂 壽二
1
,
室原 豊明
2
,
今泉 勉
2
,
池田 宇一
3
,
島田 和幸
3
Hiroaki Matsubara
1
,
Hiroya Masaki
1
,
Eriko Yuyama
1
,
Katsuya Amano
1
,
Toshiji Iwasaka
1
,
Toyoaki Murohara
2
,
Tsutomu Imaizumi
2
,
Uichi Ikeda
3
,
Kazuyuki Shimada
3
1関西医科大学第2内科・心臓血管病センター
2久留米大学医学部第三内科・循環器研究所
3自治医科大学循環器内科
1Second Department of Inernal Medicine, and Cardiovascular Center, Kansai Medical University
2Third Department of Internal Medicine, Kurume University School of Medicine, Division of Medicine
3Department of Cardiovascular Medicine, Jichi Medical School
pp.349-355
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902451
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はじめに
本邦における心血管系の再生医学の一つの起爆剤は1999年2月に脳死患者から行われた心臓・肝臓・腎臓の臓器移植に始まる.もう一つの大切な要因は,1998年11月に米国ウィスコンシン大学がヒトES(胚幹細胞)細胞を発表したことである.同時期に末梢血には骨髄から動員された血管内皮前駆細胞(EPC)が存在すること1),血管内皮増殖因子のvascular endothelial growth factor(VEGF),fibroblast growth factor(FGF),hepatic growth factor(HGF)の蛋白・遺伝子血管新生治療,骨髄細胞から心筋細胞が分化可能であることが報告され2),心血管系での再生医学研究は新世紀を迎え,従来の研究室レベルでの基礎研究が臨床応用へと融合した.
閉塞性動脈硬化症のなかで細胞移植の適用になるのは,ankle-brachial blood pressure ratio(ABPI)が0.6以下に低下して下肢に重症虚血の存在するischemic lesionである.閉塞性動脈硬化の3大リスク因子として重要なのは年齢,喫煙,糖尿病であり,一般的に高脂血症,高血圧などのリスク頻度より高い.
本稿では,実際に臨床応用が始まった骨髄単核球細胞移植による血管再生治療の成績を中心に今後の心血管系の再生医療の展望を述べる.
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