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特集 急性心筋梗塞治療の新展開—心筋保護の観点から
プラークラプチャーを如何に抑制するか—臨床的観点から
How do Restrain Rupture of Plaque: from a clinical point of view
菊池 学
1
,
河野 通
1
,
上松瀬 勝男
1
Satoru Kikuchi
1
,
Tohru Kohno
1
,
Katsuo Kanmatsuse
1
1日本大学医学部第2内科
1The Second Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.881-888
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902347
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はじめに
虚血性心疾患は欧米における死因の第1位を占め,わが国においても悪性新生物に次ぐ第2位の座を占めるようになって久しい.
従来,その代表的な疾患である急性心筋梗塞の多くは,経年的に進行する粥状硬化性の冠動脈内腔狭窄が冠血流の停滞を生じ,血栓性閉塞に至って発症するものと考えられてきた.すなわち,急性心筋梗塞は冠動脈に器質的な高度狭窄を持つ労作性狭心症の延長上にあるものとみなされていたのである.
したがって,急性心筋梗塞の予防には早期に冠動脈高度狭窄を診断し,冠インターベンションを加えることがもっとも合目的な手段であると考えられていた.
しかし近年,急性冠症候群(acute coronarysyndromes)の概念が普及し,不安定狭心症,急性心筋梗塞,虚血性突然死は,冠動脈プラークの破綻・糜爛に対する加速度的な血栓形成により冠血流の途絶または停滞を来して発症するという一連のスペクトラムを持つ疾患として理解されつつある(表1).
本稿では,急性冠症候群発症の発端となる冠動脈プラークの破綻・糜爛を実際の臨床の場で如何に抑制たていくべきかという問題に対し,現況を整理し概説した.
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