冠動脈疾患をめぐる最近の話題
冠動脈プラークとプラークラプチャーの基礎 血栓形成のメカニズム
野村 昌作
1
1岸和田市立岸和田市民病院 血液内科
キーワード:
Collagen
,
シグナルトランスダクション
,
Thrombin
,
von Willebrand因子
,
血管内皮
,
血小板
,
血小板活性化
,
コレステロール塞栓症
,
ずり応力
,
内皮細胞
,
血小板血栓
Keyword:
Blood Platelets
,
Collagen
,
Endothelium, Vascular
,
Thrombin
,
von Willebrand Factor
,
Signal Transduction
,
Platelet Activation
,
Embolism, Cholesterol
,
Endothelial Cells
pp.497-502
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007325581
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血小板血栓の形成には、低ずり応力下でのアゴニスト凝集に加えて、血管狭窄部で生じた高ずり応力下でのvon Willebrand因子(vWF)依存性の血小板凝集が重要である。生体内で、内皮細胞が傷害されると速やかに血小板は活性化され、血管内皮下組織に粘着し、受容体からのシグナルが血小板の細胞内に伝達される。血小板の活性化誘発に従い、形態変化、凝集・放出反応を引き起こし血小板血栓を形成する。血小板の活性化が進むと、プロトロンビナーゼ活性が出現し、血小板に凝固の初期反応が起こる。血小板はルーズな凝集塊を形成したのち、接触依存型シグナル伝達を通じて血小板血栓が成長し、密なる止血血栓が完成する。炎症は、内皮細胞機能を介して血栓形成を促進するが、活性化血小板は炎症の調節因子となる複数の物質を産生し、これらも血栓形成に寄与している。
©Nankodo Co., Ltd., 2007