Japanese
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特集 急性心筋梗塞治療の新展開—心筋保護の観点から
心臓リモデリングは抑制できるか—基礎的観点から
The Prevention of Cardiac Remodeling
葭山 稔
1
Minoru Yoshiyama
1
1大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学
1Department of Medicine, Division of Cardiology, Osaka City University
pp.861-865
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902344
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はじめに
心臓は常に変動する外的ストレスにさらされ,遺伝子の発現や細胞の性質を変化させている.ストレスが高まり心臓へ障害をもたらすと,応答性の変化は極めて大きく,時に三次元の構築を変化させることになる.このような変化は,たとえば急性心筋梗塞後の心筋でも生ずる.これを心筋梗塞後の心臓リモデリングと呼んでおり,負荷に対する適応現象と考えることもできる.一方では,リモデリングは心臓の機能を修飾し,増悪因子でもある.
急性心筋梗塞後のリモデリングとは,心筋梗塞発症後に生ずる左室内腔の拡大を主体とした左室構築の変化を総称たた病理学的な変化を指す1).その病理学的変化は,比較的早期に生ずる梗塞部における壊死組織の菲薄伸展化と,慢性期に進行する非梗塞部位の肥大と内腔の拡大がある.ポンプ機能の低下した左室においては,拡張は生理的代償性の適応反応でもあるが,過剰となると心不全を惹起して予後を悪くする.梗塞後リモデリングの程度が強いほど,すなわち左室の拡大が大きいほど心筋梗塞後の予後が悪いことが明らかとなり,急性心筋梗塞の治療において梗塞後リモデリングの予防は非常に重要な要素として受け止められている.それゆえ,心筋梗塞の治療においては左室リモデリングは最小限に押さえることが重要である.
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