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心エコー図をめぐる最近1年間の話題
産業や技術の進歩に対して決り文句のように使われる『日進月歩』という表現があるが,最近のコンピュータテクノロジーやインターネットの普及はもはや『日進月歩』の域を越えて,いわば『時進日歩』とでもいうべき様相を呈している.心エコー図の分野においても同様で最近の展開は実にめまぐるしく,また広範に及んでいる.これらの背景にあるのはハーモニックイメージ,超プロードバンド探触子の開発や超高速画像処理の実現など超音波テクノロジーの進歩とともに超音波造影剤として開発されたmicrobubbleと超音波のさまざまな相互作用の研究解明である.
その結果として,近未来を含む現在の心エコー法には大きく分けると2つの流れがでてきていると思われる.ひとつは装置の高機能化と小型化であり,もうひとつは,超音波の治療への応用である.前者は経胸壁心エコー図による冠循環の評価,リアルタイム3次元心エコー図,携帯型心エコー装置の開発などこれまで診断装置としてできなかったことへの挑戦である.後者は心エコー図の分野に限ったことではないが,これまで診断のための道具であった超音波が治療へと踏み出す極めて大きな一歩である.前者のうち携帯型心エコーの開発はある意味でもっとも心エコーらしい動きともいえる.すなわち,心エコーがもっとも得意とするのはいつでも何処でもリアルタイムで非侵襲的な診断ができることであり,救急外来やCCUでのその有用性はいまさら言うまでもないことである.しかしながら,どこでも施行できるとはいえ,重い装置を押したり,引いたりしながら駆けつけるのは容易ではないし,病室での検査は窮屈なこともある.そこには心エコー装置が動かせるからこその悩みがあったわけである.
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