今月の主題 心筋症—その展望
心筋症を疑うとき
心エコー図
吉川 純一
1
1神戸中央市民病院循環器センター内科
pp.70-71
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215724
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はじめに
特発性心筋症(primary myocardial disease:PMD)はGoodwinにより,肥大型とうっ血型の2種類に大まかに分類されている.心エコー図は本症の診断のみならず,病型分類,重症度の判定にも利用され,さらに疾患概念の追求にも応用されている.Henryらは肥大型心筋症の病理学的観察から,心室中隔の厚さの左室後壁の厚さに対する比がL3をこえる非対称性中隔肥大(asymmetric septal hypertrophy:ASH)として本症が表現されると報告している1).
一方,本症の閉塞の機序も僧帽弁の収縮期前方運動(systolic anterior movernent:SAM)と密接な関係を有していることが知られており,本症の病態の解明は超音波検査法の進歩とともに歩んできた.しかしながら,最近になって,ASHを呈しなつ本症やASHを呈する他の疾患の存在が知られるようになり,同時にSAMが僧帽弁よりもむしろ腱索や乳頭筋に由来するという考えも登場してきた.心エコー図によるPMD診断の問題点は,以上の基本的な問題に加えて,PMD類似の左室形態が冠動脈疾患や心筋炎,アミロイドーシス,アルコール心,膠原病などでもみられることである.このような問題をも考慮しながら,PMDの診断において心エコー図がいかなる役割を果たしうるかについて解説する.
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