Topics Respiration & Circulation
心不全とNOの新たな展開
赤石 誠
1,2
1慶應義塾大学呼吸循環器内科
2慶應義塾大学中央臨床検査部心機能室
pp.217-218
発行日 1996年2月15日
Published Date 1996/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901207
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■最近の動向 心不全患者において血管内皮依存性の内皮由来弛緩因子(NO)を介した末梢血管の拡張反応が低下していることはよく認められている事実である.そしてそれが,心不全患者の運動耐容能減少に関与しているという意義が論じられている.このように心不全とNOはもっぱら末梢血管の内皮の障害という観点から議論されてきた.ところが,近年NOが内皮のみならず,心筋細胞においても産生されることが明らかとなり,心不全とNOは,別の観点から見直されてきている.
拡張型心筋症の患者の心筋にiNOSが発現しているという報告があるが,それが原因なのか結果なのか,そしてその意義は未だに不明である.また心不全患者においてサイトカインが高値を示すという報告もあるが,その意義もよくわかっていない。1995年のAHAで心不全例のβ刺激に対する心室収縮性の応答がNOを抑制すると増強されるという臨床成績が発表され1),今回紹介するin vitroの実験結果が臨床例での変化に対応する可能性が示された.ただし,臨床的な意義があるか否かはまた別の問題である.
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