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特集 耐性菌呼吸器感染症の現状と治療
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌),VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)感染症
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA),and Vancomycin-resistant Enterococci (VRE)
村川 幸市
1
,
三笠 桂一
2
Koichi Murakawa
1
,
Keiichi Mikasa
2
1奈良県立医科大学中央臨床検査部
2奈良県立医科大学第二内科
1Division of Central Clinical Labolatory, Nara Medical University
2Department of Internal Medicine II, Nara Medical University
pp.739-745
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902327
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はじめに
近年,抗菌薬の開発が盛んに行われ,一方で耐性菌が増加してきた背景には,起炎菌を正確に同定せず,安易に新規の抗菌薬を乱用してきたことが一つにあげられる.また,compromised hostの増加とともに,常在菌による内因性感染症が増加している.
わが国では1980年代からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症が増加し,呼吸器をはじめ消化管,尿路などの難治性感染症の起炎菌として,また院内感染の原因菌としても臨床家を悩ませている.一方,バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は,わが国では1996年に初めて分離され1),以後散発的に分離されているが,いずれもそれぞれの患者からの個別分離菌で,VREによる院内感染のアウトブレイクの報告はない.
黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚や鼻咽頭,腸球菌はヒトの口腔内や大腸に常在する。そのため,耐性化した菌株が体内の諸臓器に容易に広がりをみせることは,compromised hostが多く,人が密集している病院という環境においては当然の理であり,予防と治療を含めてその対策は急務である.
今回,耐性菌呼吸器感染症の現状と治療に関し,MRSAとVREについて解説する.
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