Japanese
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特集 急性肺傷害の発症因子をめぐって
急性肺傷害の発症におけるアポトーシスの役割
The Role of Apoptosis in the Pathogenesis of Acute Lung Injury
桑野 和善
1
,
川崎 雅之
1
,
原 信之
1
Kazuyoshi Kuwano
1
,
Masayuki Kawasaki
1
,
Nobuyuki Hara
1
1九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
1Research Institute for Diseases of the Chest, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.347-351
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902269
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はじめに
細胞死はその形態学的特徴から,アポトーシスとネクローシスに大別される.アポトーシスは,本来,発生分化の段階で認められるprograln—med cell deathの形態変化であり,ネクローシスは薬剤,毒物,紫外線などの外的刺激によって起こるとされていた.しかし最近では,後者のような外的刺激による細胞死もアポトーシスの形態をとることが知られるようになり,アポトーシスは細胞死の主たる形態と考えられている.
急性肺損傷(acute lung injury:ALI)/急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syn—drome:ARDS)は,急性に発症する特徴的な胸部X線写真所見を呈する非心原性肺水腫である.急性肺損傷の中心病態は肺微小血管内皮細胞の損傷であり,その結果,血管透過性肺水腫が生じ,重篤な呼吸不全を呈する.肺に集積した活性化好中球から放出される活性酸素や蛋白分解酵素が,血管内皮細胞損傷において重要な役割を果たす.特に敗血症では,エンドトキシンが炎症細胞ばかりでなく諸臓器の構成細胞を活性化し,炎症性サイトカインや接着分子の発現誘導,活性酸素,蛋白分解酵素,アラキドン酸代謝産物などの炎症性メディエーターの産生放出を促進し,急性肺損傷を惹起する.
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