巻頭言
肺線維化とアポトーシス—新しい研究の方向を目指して
原 信之
1
1九州大学大学院医学系研究付属胸部疾患研究施設
pp.863
発行日 1999年9月15日
Published Date 1999/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901955
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近年,各種疾患の成因と治療に分子生物学的アプローチがなされ次々に新しい知見が得られている.今回は,呼吸器疾患の中で難治性疾患の一つである肺線維症を取り上げ,その機序を気管支.肺胞上皮細胞のアポトーシスの面から検討を加えてみた.
アポトーシス,すなわち制御された細胞死(programmed cell death)は,1972年に病理学者Kerrらによってネクローシスによる細胞死に対比して名付けられた名称である.しかし,当時は,一般に受け入れられた概念ではなかったが,その後,次々に細胞死関連遺伝子が発見され今日のアポトーシス研究の隆盛を迎えるに至った.特に,1991年大阪バイオサイエンスの長田博士らによってアポトーシス誘導遺伝子Fas抗原がクローニングされ,これを機に様々な疾患の成因・病態についてアポトーシスとの関連で研究が行われるようになった.
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