Japanese
English
特集 呼吸器疾患におけるアポトーシスの最新知見
肺気腫進展におけるアポトーシスの役割
The Role of Apoptosis in the Pathogenesis of Emphysema
青柴 和徹
1
Kazutetsu Aoshiba
1
1東京女子医科大学第一内科
1First Department of Medicine, Tokyo Women's Medical University
pp.21-25
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100138
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
肺気腫は肺胞構造の破壊と消失を特徴とする慢性進行性疾患である.その原因には,喫煙刺激により活性化された炎症細胞由来のプロテアーゼやオキシダントなどが肺胞の細胞外基質を傷害・破壊する機序が考えられている.このような古典的な考え方以外にも,近年では炎症細胞や肺胞を構成する細胞の動態異常という観点から,アポトーシスがその病態に関与しているのではないかという仮説が提唱されている.
炎症細胞のアポトーシス
肺気腫や慢性(細)気管支炎などのCOPD患者の気道・肺組織にはリンパ球,好中球,マクロファージなどの炎症細胞が増加しているが,炎症細胞数のバランスを規定する要因の一つとしてアポトーシスが注目されている.喫煙刺激が好中球のアポトーシスに与える影響をみた研究では,喫煙の主成分であるニコチンやアクロラインが好中球のアポトーシスを抑制することが報告されている1,2).一方,COPD患者の血液中から採取した好中球のアポトーシスについて検討した報告では,急性増悪期においては好中球のアポトーシスが抑制されているという成績3)や安定期の患者では健常者と同程度であったという成績4)が報告されている.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.