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特集 右心不全をめぐって
右心不全が左室機能へ及ぼす影響
Influence of Right Heart Failure on Left Ventricular Function
赤石 誠
1
Makoto Akaishi
1
1北里研究所病院循環器科
1Department of Cardiology, Kitasato Institute Hospital
pp.1019-1023
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902173
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通常,左心不全が起これば,左房圧,肺静脈圧が上昇し,肺高血圧を呈し右室圧負荷を来し,右室不全を招来することは容易に理解される.これは古典的な表現を借りれば,心不全の後方不全に入ることになる.一方,純粋な右心不全では,左室機能に大きな影響を及ぼすことはないと考えられている.しかし,左室と右室は同じ循環系のなかで直列に存在し,右心不全による血行動態異常は左室の血行動態をも障害させることになる.また,右室と左室は共通の心膜の中に存在し,心室中隔を介して相接して並んでいるので,片方の心室の挙動が他の心室に影響を与えるということは十分に考えられることである.そのことを考えれば,肺高血圧症などに起因する右心不全でも左室機能が血行動態を介さずに影響を受けるということもありうる1).
そこで,本稿では循環系のなかに直列に存在するために生じる右心不全が左室に与える影響,並列に存在しているがために生じる右心不全が左室に与える影響,さらに右心不全を来すような呼吸不全にみられる低酸素血症が左室に与える影響について解説する.
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