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2011年4月に非拍動流植込み型左室補助人工心臓(left ventricular assistdevice:LVAD)(以後、植込み型LVAD)が心移植へのブリッジに対して保険償還され、在宅による心移植待機が現実のものとなった。植込み型LVAD治療を取り巻く医療現場や社会環境は大きく変化したと実感している。わが国における現状では、心移植適応がない心不全患者には、植込み型LVADの適応はない。しかしながら植込み型LVADによって、予後や生活の質(quality of life:QOL)の改善が見込める心不全患者もいると考えられ、アメリカなどではこれらの患者に植込み型LVADによる治療がdestination therapy(DT)として行われている。わが国でもDTの治験が進行中であり、近い将来、植込み型LVADは末期重症心不全の治療の選択肢の1つとして広く行われていくことが予測される。その一方、心臓移植待機へのブリッジであっても、わが国では植込み型LVADの長期使用が余儀なくされている。ましてやDTでは生涯にわたって植込み型LVADと歩んでいく必要がある。即ち、植込み型LVAD装着患者のQOLを保ち日常生活動作(activities of daily living:ADL)を拡大していくためには、植込み型LVADの合併症を予防し、早期に解決をしていく必要がある。アメリカのINTERMACSからの報告によると、右心不全は非拍動流植込み型LVADの周術期合併症として多臓器不全、脳神経合併症、出血とならび多いが、時間経過とともに著明に減少していく。著者等の施設でも右心不全による再入院は全再入院の1.9%にすぎなかった。右心不全は植込み型LVAD装着術周術期の循環管理が重要であることを示唆している。加えて、遠隔期における右心機能を考慮した治療も、植込み型LVAD装着患者の管理において重要な点である。
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