Japanese
English
特集 酸化ストレスと心血管病態
酸化と再狭窄
Oxidative Stress in Restenosis after Angioplasty
代田 浩之
1
,
相原 恒一郎
1
,
宮内 克己
1
Hiroyuki Daita
1
,
Kouichiro Aihara
1
,
Katsumi Miyauchi
1
1順天堂大学医学部循環器内科
1Department of Cardiology, Juntendo University School of Medicine
pp.807-813
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902141
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酸化ストレスは動脈硬化の形成と進展に重要な役割を担っている.酸化LDLは動脈硬化巣でマクロファージの泡沫化や増殖に関与するだけでなく,様々なサイトカインの発現や内皮細胞での接着因子などにも関わる1).抗酸化剤は酸化ストレスを低下させ,動脈硬化の進展を予防することが動物実験では明らかにされているが2),残念ながら臨床試験では必ずしも明確な予防効果を示していない3〜5).
動脈硬化の形成,進展の過程に中膜から遊走した平滑筋細胞の増殖によって起こる内膜肥厚があるが,平滑筋細胞において,細胞増殖に関与するサイトカインや増殖因子の遺伝子発現に酸化ストレスが刺激的に働くことや伸展刺激などのストレスが酸化の誘発刺激となると報告されている6).このことからPTCA後の約30〜50%の症例に認められている再狭窄にも酸化ストレスは重要であろうと考えられてきた.われわれも,PTCA後の再狭窄に対して抗酸化剤であるプロブコールが有効であることを報告したが7),最近これを支持する多くの研究結果が報告されるようになり8,9),再狭窄と酸化の関連が注目されるとともに,抗酸化剤の新しい効能がクローズアップされている.
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