Japanese
English
綜説
Endovascular Brachytherapyによる再狭窄予防
Irradiation and Postangioplasty Restenosis
石綿 清雄
1
Ishiwata Sugao
1
,
Keith A Robinson
2
,
Spencer B King
2
1虎の門病院循環器センター内科
2Andreas Gruentzig Cardiovascular Center, Emory University School of Medicine
1Department of Cardiology, Cardiovascular Center, Toranomon Hospital
pp.681-688
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901726
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背景
1977年,Andreas Gruentzig1)が経皮的冠動脈形成術(以下PTCA)を導入して以来20年が経過した現在,PTCAは虚血性心疾患の治療法の一つとして確立された手技となった.しかし,世界各国で年間に約百万人がPTCAを施行されている現状において,再狭窄はいまだ未解決の大きな問題となっている.これまでに様々な薬物や新たな器具により再狭窄予防が試みられたが,臨床上決め手となる治療法は未だ確立されていない.最近,再狭窄の形成される機序として再狭窄が創傷の治癒過程に非常に近似していることが着目されてきた.すなわち,瘢痕形成としての新生内膜の増殖とそれに引き続いて起こる瘢痕収縮としての慢性期のリモデリングが再狭窄に関わる大きな二つの要因であると考えられている2〜5).
近年,新たな再狭窄の予防法としてEndovas—cular Brachytherapy(冠動脈内放射線療法)が注目されている.放射線は従来より悪性疾患のみならず良性の増殖性疾患の治療にも使われており,術後のケロイド治療や眼科手術後の再発性の翼状片の予防に有効であった6〜10).Brachytherapyとは密封小線源を近距離より照射して治療する方法であるが,再狭窄がPTCA後の血管の治癒過程における創傷瘢痕であるという立場からみれば,再狭窄治療に局所への放射線を適用することは極めて理にかなったアプローチの手段といえるわけである.
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