巻頭言
心拍とリズム
山口 巖
1
1筑波大学臨床医学系内科
pp.759
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902133
- 有料閲覧
- 文献概要
通常の歩行速度(テンポ)が心拍数(60〜80/分)に類似しており,テンポに関しては,われわれが聴診や触診で1分間に正確に数えられる心拍数(脈拍数)の上限が130〜140心拍/分であり,それがちょうどヒトの洞結節の脱分極頻度の上限にあたることを考えると,音楽のリズムの根源がヒトの心拍と密接な関係にあるように思われてくる.さらに哺乳動物の心拍数と歩行速度(テンポ)については,体の大きな動物ほど心拍数が少ないことを考えあわせるとなおさらの感がある.
リズムは通俗的には旋律(メロディー)・和音(ハーモニー)と並んで音楽の三要素の一つであるが,時間芸術である音楽を時間的に支配し,これに統一的な秩序を与える最重要要素であることは,リズムだけの音楽はあってもリズムのない音楽はないことでも理解される.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.